【2月11日 AFP】フランスの博物館が所蔵するホラガイの一種を用いて作られた笛が、1万7000年以上の時を経て再びその音を奏でた──。この巻き貝の笛についての研究論文が10日、発表された。これまでに見つかった同様のものでは最古とみられる。

 巻き貝の笛は1931年、ピレネー山脈(Pyrenees)にあるマルスラ洞窟(Marsoulas Cave)で見つかった。この洞窟には、氷河期の終わりにここで生活していたマドレーヌ期の人々の壁画が残されている。

 発見当初は、貝が加工されていることが分からず、儀式で用いるための何らかの容器だと考えられた。その後、トゥールーズ(Toulouse)の自然史博物館(Museum of Natural History)に移されたが、数十年にわたりその存在は忘れられたままとなっていた。

 最新技術を用いた今回の調査で、巻き貝に人の手が加えられていたことが判明。また、今も音を奏でられることが分かった。

 演奏家が音を出したところ、その音色はド、ドのシャープ、レに近かった。また、1メートル離れた距離での音の大きさは、約100デシベルに上った。

 見つかった数々の遺物を放射性炭素年代測定で調べた結果、マルスラ洞窟が使われていたのは約1万8000年前と示唆された。

 巻き貝の笛を鳴らす今後の取り組みでは、現物の代わりに3Dプリンターで複製された笛が用いられる。(c)AFP