【2月12日 AFP】地球外知的生命体の発見は人類史上最大の変革をもたらすだろうが、もし、それがすでに起きていたことを示唆する証拠を、科学者たちがこぞって無視すると決めたのだとしたら──? こんな前提に基づいた新著を、著名天文学者のアビ・ローブ(Avi Loeb)氏(58)が出版した。

 ローブ氏の主張によれば、2017年に太陽系を通過した天体「オウムアムア(Oumuamua)」の極めて珍しい特異性を最もシンプルかつ最適に説明できるのは、異星人の技術だという解釈だ。

 ローブ氏は輝かしい経歴の持ち主だ。米ハーバード大学(Harvard University)の天文学部長を務めた期間は歴代最長で、これまでに発表した先駆的な論文は数百本に上り、故スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士をはじめ偉大な科学者らと共同研究を行ってきた人物だけに、その主張を即座に退けるのは難しい。

「私たち(人類)が唯一無二の特権的な存在だと考えるのは、傲慢(ごうまん)だ」と、ローブ氏はAFPの動画インタビューに語った。「正しいアプローチは、謙遜してこう言うことだ。『私たちは特別な存在ではない。他にもたくさんの地球外文明があり、それを見つけさえすればいい』」

 ローブ氏は新著「Extraterrestrial: The First Sign of Intelligent Life Beyond Earth(地球外生命:地球以外の知的生命の初兆候)」の中で、オウムアムアは宇宙人の創造物だという説を展開している。

 オウムアムアは、ハワイの言葉で「使者」を意味する。2017年10月、天文学者たちは超高速で移動する物体を観測した。その速度から、他星系から飛来したとしか考えられず、観測史上初めて太陽系外からの飛来天体と認定された。

 だが、通常の岩石質天体ではないように見えた。というのも、オウムアムアは太陽の周辺で急激に軌道を変えて加速したのだ。彗星(すいせい)のようにガスやちりを放出していれば説明がつく動きだが、オウムアムアにガス噴出は確認できなかった。

 また、この物体は奇妙な回転パターンを持っていることが、天体望遠鏡による観測で明るさが大きく変化することから推察された。明るさも非常に強く、明るい色の金属でできている可能性が考えられた。

 こうした現象を説明するため、天文学者らは斬新な仮説を繰り出さざるを得なかった。ローブ氏は、「オウムアムアの特異性を説明するために考え出されたアイデアには、必ずこれまで見たことのないものが含まれている」と指摘。「それなら、なぜ造られたものだと考えてみないのか」と疑問を呈する。