【2月4日 CNS】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、世界の経済貿易活動に大きな影響を与えた。これを受け、国際貿易にはどのような変化があったのか。国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した2020年の貿易動向報告は、新型コロナウイルス終息後の各業界の国際貿易の発展動向をみるために重要な視座を与えてくれた。

 UNCTADは、コロナの影響は世界経済に大きなショックを与え、2020年の世界の国内総生産(GDP)は約5%の縮小が見込まれ、国際貿易額も約8ポイント減少するとの見通しを示した。

 業界別に見ると、エネルギー分野の国際貿易額はコロナの影響を最も大きく受け、下落幅は35%を超えた。また、自動車、機械、金属および鉱石の貿易額の下落幅も顕著だ。対照的に、多くの農業や食糧関連産業は安定を保ちながらやや上昇した。紡績分野の貿易額は2019年同期比で10ポイント上昇した。

 国のタイプ別に見ると、2020年の国際貿易の急激な減少は先進国においてより広く見られ、発展途上国の間の貿易にはより弾力性がみられた。

 中国現代国際関係研究院の陳鳳英(Chen Fengying)研究員は、上記の分野間の貿易成長の差異は各種要因の作用の結果だと述べた。例えば、紡績業界の上昇は主に新型コロナウイルスのパンデミックの際にマスクなどの防護用品に対する民衆の需要が増加したことに関連している。需給双方の影響を受け、エネルギー分野は大きなショックを受けた。また、国によってコロナ影響の深刻さや、経済的耐性などの違いも貿易への影響の違いにつながった。

 UNCTADによると、動向から見れば、国際貿易は低迷しているものの、全体の状況は、2020年は、前半に比して後半から良くなってきているという。

 UNCTADによると、中国の輸出貿易は2020年第2四半期(4-6月)から落ち着いてきている。その後の第3四半期(7-9月)、第4四半期(10-12月)には徐々に回復期に入っているという。全体的に言えば、中国の9月までの輸出レベルは2019年同期のデータと同程度だという。

 将来の国際貿易の発展動向について、UNCTADの研究結果から、いくつかのヒントが示された。

 第一に、構造面から見ると、サービス貿易が貿易全体に占める比重は持続的に上昇している。2019年の世界商品貿易額は19兆ドル(約1989兆円)に近く、サービス貿易は約6兆ドル(約628兆円)に達した。UNCTADは、過去数年間の商品貿易の上昇が著しく鈍化しているのに対し、サービス貿易の各分野は明らかに上昇しており、従来の旅行、運送以外に、金融サービス、通信技術など分野も明らかに上昇していると指摘した。

 第二に、経済地理の面から見ると、発展途上国の重要性が増している。発展途上国の間の貿易協力、特に中国との貿易は日増しに国際貿易の重要なエンジンとなっている。

 陳氏から見れば、上述の発展動向は新興市場国に対して全体的に良好で、新興市場が依然として大きな発展の余地を持っていることを意味している。現状から見れば、アジア、特に東南アジア諸国連合(ASEAN、アセアン)、東北アジアなどの地域のデジタルサービス貿易の発展の勢いは力強く、将来は国際貿易発展の重要な原動力の源となるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News