【1月31日 AFP】サッカーフランス・リーグ1のオリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)で30日、怒ったサポーターの集団が練習場に侵入して破壊行為などに及ぶ事件があった。これにより、同日予定されていたマルセイユ対レンヌ(Stade Rennes FC)の試合が延期となった。

 事件を起こしたのは過激なサポーター集団の「ウルトラス」。クラブの上層部とチームの最近の成績に不満を持つウルトラスは、この日午後にマルセイユの練習施設の前に集まり、発煙筒や爆竹を投げ込んだ。

 クラブは発表文で「数百人のウルトラスが、トップチームの施設などがある練習場に暴力を使って無理やり侵入した」とすると、「不当な暴力の嵐により、その場にいた人間の命が危険にさらされた。窃盗や車両の破壊といった行為があり、5本の木が燃やされた。被害額は数十万ユーロに及ぶ」と明かした。

 またブーシュデュローヌ(Bouches-du-Rhone)県の地元警察は25人を逮捕し、「300人のマルセイユサポーターが、警備のため現地にいた警察官を激しく攻撃した」ため、警官7人が負傷したことを発表した。

 さらに仏紙レキップ(L'Equipe)の報道によると、サポーターと対決しようとした所属DFのアルバロ・ゴンサレス(Alvaro Gonzalez)が背中に物を投げつけられたという。

 マルセイユのジャック・アンリ・エイロー(Jacques-Henri Eyraud)会長は、仏テレビ局カナル・プリュス(Canal Plus)に対して「スタッフ、コーチ陣、選手は全員驚いている。凶暴な集団がやって来て全てを破壊するなど、予想もしていなかった」と話した。

「もっとひどい状況になっていた可能性もあったし、それは避けられたと思う。大惨事になっていてもおかしくなかった。選手とスタッフはみんなショックを受けている。こういうことをするのは本物のサポーターではない。フーリガンや無法者、リスペクトのない人間だ」

 事件を受けて、リーグ1は夜に予定されていたマルセイユ対レンヌの試合を「後日」に延期している。

 マルセイユは新型コロナウイルスの感染拡大で打ち切りになった昨季を2位で終えたが、直近のリーグ戦は3連敗を喫しており、2試合消化が少ない状況ではあるが首位オリンピック・リヨン(Olympique Lyon)との勝ち点差が14に開いていた。公式戦全体でも、ここ9試合で白星はわずかに一つしかなかった。

 サポーターは数週間前から、無観客で開催されているホームゲームの前に大規模な抗議を行っていた。この日は橋や交差点、さらには地中海を臨む崖道など、街の至るところに今まで以上の数の横断幕を出して会長らクラブの上層部を非難していた。本拠地スタッド・ヴェロドローム(Stade Velodrome)のすぐそばの交差点には、「会長、マルセイユはお前を吐き捨てる」と記された横断幕が掲示された。

 チームはこの後、来月3日にランス(RC Lens)戦、同7日にパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)戦が予定されている。(c)AFP