【1月30日 AFP】米国における新型コロナウイルスの新規感染者数と入院患者数は2週間連続で減少し、全体の感染者数は依然として昨秋から今冬にかけての感染爆発以前の水準を大きく上回っているものの、流行は明らかに落ち着き始めている。なぜ、米国の感染者数は減ってきているのだろうか。

【あわせて読みたい】コロナ感染、男性の生殖機能に影響か 独研究

 専門家らが挙げる理由は、マスク着用やソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の順守から、休暇シーズンが終わって時間がたったことまでさまざまある。もう一つの要因として、少なくとも一部の地域では、すでに住民の大半が感染してしまい、ウイルスにとって宿主候補がなくなりつつあることも考えられる。だが、研究者らは各種規制を緩和するのは時期尚早で、制限を緩和すれば、現在の安定した状態が失われ、新たな感染急増を引き起こすおそれがあると警告している。今知っておくべきポイントを以下にまとめた。

■休暇が原因の感染爆発は終わった

 昨年、夏の小康状態が終わって秋になると、米国の新規感染者数は再び増加し始めた。この時期、集まる場が屋内に移り、新型コロナウイルスに対して油断し始める人が増えた。

 次いで感謝祭(Thanksgiving)、クリスマス、新年と、感染リスクが高まる休暇シーズンが三つも続き、何百万人もが当局の指針に従わずに家族や友人の元を訪れ、新規感染者数が激増した。

 時間のずれがあるため、今も1日の死者数は平均して3000人を超えているが、全体的な数字としては良い方向に向かいつつある。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の専門家アメシュ・アダリヤ(Amesh Adalja)氏はAFPの取材に、「休暇旅行に便乗してウイルスが広がっていたが、それもなくなってしまった」からだと語った。

■感染者が増えると行動を改める人が増える

 さまざまな感染症の流行は、本質的に人間の行動と関連している。

 生物統計学と感染症の専門家である米フロリダ大学(University of Florida)のナタリー・ディーン(Natalie Dean)氏はAFPに、「集団レベルでの反応の仕組み」が起こっていたとして、「自分がいる地域で感染者が増えると、それに人々が反応」したことを例に挙げた。

 ディーン氏は、フロリダ州、テキサス州、アリゾナ州では夏の感染拡大後、すぐに感染状況が好転したことに触れ、「政策によるものであれ、大勢の人々が各自でちょっとした行動を改めた結果であれ、感染拡大ペースは鈍化している」と述べた。