■集団免疫の獲得に向けて一歩前進

 米国で現在までに確認された感染者数は約2500万人。しかし米スタンフォード大学(Stanford University)のジェイ・バッタチャリヤ(Jay Bhattacharya)教授はAFPに、実際の感染者数ははるかに多いと考えられ、その数は1億人から1億2500万人に上る可能性もあると述べた。

 自然感染によって、少なくとも一定期間の高度な免疫が得られることは分かっている。これにワクチン接種を少なくとも1回受けた(部分的に免疫を獲得した)人々を加えることができるが、ワクチン接種を受けた人数は米国では現時点(30日)で2100万人となる。

 二つの人数を合計すれば、米国の全人口3億3000万人の約40%に相当し、「真の集団免疫」を獲得できる割合としてよく引き合いに出される約85%に一歩近づく。だが、道のりはまだ長い。

■春が来て人が動き回るようになるとバランスが崩れるおそれが

 疫学者である米コロンビア大学(Columbia University)のジェフリー・シャーマン(Jeffrey Shaman)教授と先のバッタチャリヤ氏によると、問題は、人々の行動が変化することで現在の微妙なバランスが崩れることだ。

 春が来て、人々が今よりも動き回るようになれば、より多くの感染者が免疫のない人々と接触するようになるおそれがある。

 最後のポイントは、新たな変異株が「ワイルドカード(予測不可能な要素)」であることだ。変異株の感染力が高いと、集団免疫の獲得に必要となる統計上の閾値(いきち)は上がる。また、南アフリカの変異株は、再感染するリスクが従来種よりはるかに高い。(c)AFP/Issam AHMED