【1月30日 AFP】アルゼンチンで29日、医療物資の購入や新型コロナウイルス流行による影響を受けた中小企業の財源とするため、富裕層を対象に一時的な追加課税をすることを定めた法律が施行された。

 昨年12月に上院で賛成42、反対26で可決された同法は、所有資産が2億ペソ(約2億4000万円)を超える人に課税することが定められている。

 中道左派のアルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernandez)政権は、 同国の人口約4400万人のうち経済的に豊かな上位約1万2000人に課税して約30億ドル(約3000億円)相当の税収を得えたい考え。

 この法律で課税対象となる人は、国内で申告されている総資産の最大3.5%と、海外に所有する資産の最大5.25%の税金を納めることになる。

 これによる税収は、医療物資の購入や中小企業支援、社会的支援、エネルギー供給網の恩恵を受けていない人たちへの天然ガス供給のために使用される。

 国税当局には29日から、納税額の計算と請求を開始する権限が与えられた。

 この法をめぐっては、中道右派の野党からは「(財産の)没収」だと批判が上がった。

 新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているアルゼンチンでは、これまでに190万人以上の感染と4万7000人以上の死亡が確認されている。コロナ流行前から高かった同国の貧困率はさらに悪化し、人口の40%以上が貧困線以下で暮らしている。(c)AFP