ホリデー後も一役 クリスマスツリーで米ハリケーン被害の砂丘復元
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【2月9日 AFP】米テキサス州メキシコ湾(Gulf of Mexico)岸の浜辺に、トニー・カプレッタ(Toni Capretta)さんが立っている。そこには7か月前まで、彼女の背丈ほどの砂丘があったが、今は何も残っていない。
カプレッタさんが住む町サーフサイドビーチ(Surfside Beach)は、夏場はテキサスの人々が群れをなして海岸に押し寄せにぎわう。その景観を保護しているのは、冬のホリデーシーズンの象徴クリスマスツリーだ。
常緑樹のクリスマスツリーをリサイクルし、砂丘に新しい壁を設置する。激しい暴風雨からデリケートな砂地を守るためだ。
カプレッタさん率いる団体「セーブアワービーチ(Save Our Beach、私たちのビーチを救え)」は毎冬、数百人のボランティアを募り、砂丘の復元に取り組んでいる。今、砂丘の大部分は昨年の記録的な暴風雨で海に流されたままだ。
近隣のレイクジャクソン(Lake Jackson)市やさらに内陸部の大都市ヒューストン(Houston)の住民にとって、サーフサイドビーチを含む全長40キロに及ぶブラゾリア(Brazoria)郡の海浜は、魚釣りや日光浴に絶好の場所だ。
メキシコ湾岸の砂丘は、何百種という野鳥の憩いの場であり、ウミガメの産卵地ともなり、時としてワニもやって来る。
ブラゾリア郡が最近開催した「砂丘の日(Dunes Day)」に、カプレッタさんはボランティアと共に参加。松のくいや天然繊維をよったひもを使って、寄贈された約3000本のクリスマスツリーを砂浜に固定した。
■ハリケーンの季節
数か月後、風に運ばれた砂が、クリスマスツリーの枝や葉に引っかかって積み重なり、やがて木全体を覆う。
「砂に埋もれた天然木のクリスマスツリーは、時がたつと腐食し、その上に生える植物の肥やしになる」と郡公園管理責任者のブライアン・フレイジャー(Bryan Frazier)氏は語った。同郡は1978年からこの作業を監督している。
この技術は非常に効果的で、2012年の大型ハリケーン「サンディ(Sandy)」が東海岸のニュージャージー州やニューヨーク州を襲った際など、郡は随時、情報提供の要請にも応じている。
海岸浸食は、ここ特有の問題だ。フレイジャー氏によるとこの辺り一帯は、メキシコ湾と二つの河口からの激しい流れに挟まれ、「テキサス州の海岸線の中でも特に浸食が速い」のが特徴だ。
特に、昨年の大西洋側のハリケーンシーズンは「極めて活発だった」とコロラド州立大(Colorado State University)の気象学者フィル・クロッツバック(Phil Klotzbach)氏はいう。「命名された暴風が30もあった。大西洋側で最多の記録だ」
そんな昨年のハリケーンシーズンも、ボランティアが築いたクリスマスツリーの壁は家屋や海岸道路の保護に役立った。