【1月26日 AFP】米カリフォルニア州にあるサンディエゴ動物園サファリパーク(San Diego Zoo Safari Park)は25日、新型コロナウイルスに感染し、重症化していた高齢の雄ゴリラが、最先端の人工抗体治療を受け回復しつつあると発表した。

 サンディエゴ動物園では11日、便検体から複数のゴリラの新型コロナ陽性が確認されていた。大型類人猿への新型コロナの自然感染が確認されたのは初めてだった。

 飼育員らは個人用防護具(PPE)の着用が義務付けられていたものの、無症状の飼育員からゴリラに感染したとみられている。

 感染判明後、ゴリラの群れを詳しく観察したところ、一部に軽いせき、鼻詰まり、鼻水、不活発といった症状がみられた。

 その中の一頭、48歳のニシローランドゴリラの雄「ウィンストン」は高齢に加え、基礎疾患があることから、麻酔下で検査が行われた。肺炎と心疾患が確認され、心疾患の治療薬と抗生物質、モノクローナル抗体(抗体医薬)による治療が開始された。

 モノクローナル抗体は、異物から体を守るタンパク質である抗体を人工的につくったもので、静脈へ投与される。

 米国は、新型コロナの治療薬としてモノクローナル抗体の緊急使用を許可している。モノクローナル抗体は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の治療に用いられたことで知られている。

 ただし、同動物園を運営するNPO「サンディエゴ・ズー・グローバル(San Diego Zoo Global)」によると、ウィンストンの治療に用いたモノクローナル抗体は、人間への使用が承認されていないものだという。

 同NPOは発表で、ウィンストンを治療した獣医師チームは、モノクローナル抗体が回復に寄与したと考えていると指摘している。

 サンディエゴ動物園には新型コロナウイルスワクチンも提供されており、現在、どの動物に接種すべきか検討中だという。(c)AFP