【1月28日 東方新報】アジアの新興国への融資などを目的とする中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、1月16日で開業5年を迎えた。当初、創設メンバーは57の加盟国と地域だったが、今はその約2倍の103となり、世界銀行に次ぐ世界2位の規模の金融機関となった。昨年から世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症への対応で、AIIBは大きな役割を果たし、世界中から称賛された。

 AIIBが設立された当初は、世界銀行(World Bank)、国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)など、既存の金融機関との重複性が指摘され、その必要性を疑問視する意見もあった。「中国が政治目的設置した金融機関」との批判も少なくなった。しかし、その後、しっかりした安定経営で少しずつ信頼を獲得し、加盟メンバーを増やしていった。これまでに220億ドル(約2兆2812億円)を融資しており、投融資の対象は発展途上国だけではなく、一部も工業国も含まれた。

 昨年4月、コロナウイルスの大流行を受け、AIIBは50億ドル(518億円)の危機復興基金を立ち上げた。その後、徐々に規模を拡大して130億ドル(約1兆3479億円)に達した。経済悪化が深刻化したパキスタンに2.5億ドル(約259億円)、ジョージアには4500万ユーロ(約57億円)。ベトナムの民間商業銀行に1億ドル(約104億円)を融資した。コロナで苦しむ国々に対し、金利の減免などの支援を行い、医療機器や設備、防護服なども寄付し、各国の疫病対策、産業再生と景気回復に大きく貢献し、存在感を示した。

 AIIBはインドに対し、コロナ対策で計12億5000万ドル(約1296億円)を融資した。これまでもインドに対し多額な融資を行っており、インドはいま、AIIBにとっての最大の債務国となった。しかし一方、AIIBの最大の出資国である中国は、インドと国境紛争を抱えており、双方の軍は昨年から国境付近で対峙(たいじ)している。中国はAIIBの融資を口実にインドに対し圧力を加えた痕跡は一切なく、AIIBを政治的に利用していないことが明白となった。

 昨年7月の理事会で、中国財政部出身の金立群(Jin Liqun)氏は再び総裁に選出され、2期目がスタートした。金氏は1月13日の記者会見で、「これからは環境分野への融資に力を入れ、2025年までに気候変動対策の融資を総融資額の半分にまで引き上げる」と言明した。(c)東方新報/AFPBB News