【1月26日 AFP】荒れ狂う風といてつく寒さとの闘い。1月16日に世界第2位の高峰K2(標高8611メートル)の冬季登頂に初めて成功したネパールの登山家チームが、その危険に満ちた道のりを振り返った。

「気象条件はまったく、本当にすさまじかった。気温は氷点下65度まで下がり、(風は)ハリケーン並みだった」と話すチームリーダーの一人、ニルマル・プルジャ(Nirmal Purja)氏。「それでも、ネパールの登山家10人で成し遂げることができた」

 栄光の10人組は「非情の山(Savage Mountain)」として知られるK2のベースキャンプから、壮大なカラコルム(Karakoram)山脈の玄関口であるシガー渓谷(Shigar Valley)まで、パキスタン陸軍のヘリコプターで運ばれた。

 伝統的なウール帽をかぶり、首に花輪をかけた登山家らは20日、シガーの町で英雄として歓迎された。

 あまりの厳しさに、今回の登頂を一時あきらめかけたと明かすチームメンバーもいた。「第4キャンプで、本当に断念したんだ。でも無線連絡をしたら…彼が応答しなかった」とミンマ・ギャルジェ(Mingma Gyalje)氏はAFPに語った。「ミンマ・G」として知られる同氏は、昨年もK2の冬季登頂に挑戦している。「こんなふうにチームを離れるのが嫌だった。だから、彼から応答がなかったとき、もう一度トライしようと決めた」

 ギャルジェ氏は「普通なら、連絡に応答がなかったら気分を害するけれど、今回はありがたい気持ちだ」と付け加えた。

 ネパール人は高い登山技術で知られるが、8000メートルを超える山の冬季登頂を成功させた例はなかった。

 ネパール人ガイドは通常、世界最高峰エベレスト(Everest)周辺の谷に住む少数民族シェルパ(Sherpa)の出身。大きなリスクを背負いながら装備、食料、固定ロープ、はしごなどを運ぶ彼らは、ヒマラヤ山脈(Himalayas)の登山産業の屋台骨とみなされている。