【1月23日 AFP】世界保健機関(WHO)は22日、新型コロナウイルス変異株の感染様式は従来型と変わらないとして、布製マスクの着用を推奨する指針を変更する予定はないと発表した。

 WHOの新型コロナウイルス担当技術責任者であるマリア・バンケルコフ(Maria Van Kerkhove)氏は、いくつかの変異株は「感染力が高い可能性はある」ものの、英国と南アフリカで確認された変異株の研究では「感染経路が変化したことを示す兆候は認められていない。変異株の広がり方も同じだ」と述べた。

 WHOは非医療用の布製マスクについて、「60歳以下で基礎疾患のない一般の人であれば着用してもよい」としている。

 一方で、現場で働く医療従事者、体調不良の人、検査を受けてまだ結果が出ていない人、陽性判定が出た人、感染疑いのある人や感染が確認された人のケアをしている人には医療用マスクの着用を推奨している。また重症化するリスクが高いため、60歳以上の人や基礎疾患のある人にも医療用マスクを推奨している。

 バンケルコフ氏はスイス・ジュネーブでの会見で、WHOの立場に変更はないと明言した上で、十分な保護効果を与えるために布製マスクは3層にするべきだと述べた。

 WHOの指針によると、マスクの内側の層の素材は綿のような吸水性の生地、中間の層はフィルターとして機能するようにポリプロピレンのような不織布、外側の層はポリエステルのような耐水性の素材が望ましい。

 ただ、こうした布製マスクはウイルスの拡散を抑制する一つの手段にすぎず、感染拡大を制御する解決策ではないとバンケルコフ氏はくぎを刺した。

 ドイツとオーストリアは、変異株が急速に広がっている事態への懸念から、公共交通機関や店舗での医療用マスク着用を義務化。種類は布製マスクでなく、サージカルマスクとFFP2規格の高性能マスクのみとしている。

 バンケルコフ氏は「各国は、自国にとって適切だと思った方針を決定していい」と述べるとともに、医療従事者に必要な医療用マスクは世界的な不足が懸念されていると指摘した。(c)AFP