【1月23日 AFP】米フロリダ州は、新型コロナウイルスのワクチンを接種してもらうために居住地とは違う地域を訪れる「ワクチン観光(ワクチン・ツーリズム)」を阻止するため、ワクチンの被接種者に住民であることを証明できる書類の提示を義務付ける方針を発表した。

 フロリダ州では現在、65歳以上のすべての人にワクチンの接種を進めているが、今回の方針は、自分もワクチンを接種してもらおうと他州や外国から同州を訪れている人々がいるという報告を受けて決定された。

 フロリダ州公衆衛生局のスコット・リブキーズ(Scott Rivkees)長官は21日付の公衆衛生勧告で、ワクチン接種希望者は運転免許証や公共料金の請求書、銀行からの通知書など、住民であることを証明できる書類を提示しなければならないという方針を発表した。

 フロリダ州には、冬の間に米ニューイングランド(New England)地方やカナダなど北部地域から「避寒者」が訪れるが、それ以外にも大勢の移民が住んでおり、住民の5人に1人が他国の出身者だ。移民の支援団体「アメリカン・イミグレーション・カウンシル(American Immigration Council)」が昨年8月に発表した調査報告書によると、同州には不法移民が約77万5000人居住している。

 移民保護の非営利団体「ユナイテッド・ウィ・ドリーム(United We Dream)」のフロリダ州担当、トーマス・ケネディー(Thomas Kennedy)氏は、このたびの方針によって、不法移民を含む多くの住民だけではなく、住居のない人、あるいはワクチン接種を受けるための書類をすぐに入手できない低所得者らも、ワクチン接種の機会が阻害されると指摘している。(c)AFP