【1月22日 AFP】バチカンの裁判所は21日、「バチカン銀行」の通称で知られるローマ教皇庁の財政管理組織「宗教事業協会(IOR)」の元総裁、アンジェロ・カロイア(Angelo Caloia)被告(81)に対し、公金横領とマネーロンダリング(資金洗浄)の罪で禁錮8年11月の有罪判決を言い渡した。
 
 バチカンの裁判所が金融犯罪で実刑判決を下すのは史上初。フランシスコ教皇(Pope Francis)はバチカンのガバナンス改革を推進しており、画期的な判決といえる。

 1989~2009年にIOR総裁を務めたイタリア人のカロイア被告は、弁護士ら2人と共謀してIORがイタリア国内に所有する不動産20件以上を市場価値より安値で売却したと見せ掛け、多額の売却益をスイスで資金洗浄したとして起訴された。検察当局は、不正に得た利益は総額5900万ユーロ(約74億円)に上ると主張している。

 バチカンの発表によると裁判所は、被告らが「買い手の支払った金額の一部ないしはIORに帰属する資金(中略)総額およそ1900万ユーロ(約24億円)を着服した」と断定した。

 カロイア被告には、残る2人の被告と共に1人当たり8000~1万2500ユーロ(約100万~160万円)の罰金も科され、さらに損害賠償約2300万ユーロ(約29億円)をIORとその不動産部門SGIRに支払うことも命じられた。(c)AFP/Catherine MARCIANO, Alvise ARMELLINI