【2月11日 AFP】5000年前から残る南北アメリカ大陸最古の遺跡が、不法占拠の問題に直面している。遺跡を占拠している人々は、コロナ禍で他の選択肢がないため仕方がないとしている。

 不法占拠の問題が起きているのは、ペルーのカラル(Caral)遺跡で状況は深刻だ。遺跡を発見し、調査を進める考古学者のルース・シェーディー(Ruth Shady)氏に対しては、作業を中断しないと殺害するとの脅迫まで届いている。

 複数の考古学者らは、コロナ禍による全国的なロックダウン(都市封鎖)が実施された昨年3月ごろから、不法占拠および破壊行為が始まったとAFPの取材チームに話した。

 そのうちの一人、ダニエル・マイタ(Daniel Mayta)氏は、「国有財産であるこの遺跡に侵入し、食べる目的で植物を栽培している」と説明した。

「5000年前の文明の証しを破壊する、非常に有害な行為だ」

 カラルのあるスーペ渓谷(Supe Valley)は、首都リマから北に約180キロ、太平洋から西に約20キロに位置する。

 カラル文化は、紀元前3000年から同1800年頃にかけて、砂漠地帯で発展を遂げ、南北アメリカ大陸における文明の発祥地となった。世界的に有名なインカ(Inca)帝国を最大45世紀ほどさかのぼる。

 シェーディー氏は、遺跡占拠の裏には、金もうけのために、国有地や保護区に違法に居座る土地の密売業者がいると話す。

「私たちは、コロナ禍の(厳しい)状況をいいことに遺跡を占拠し、小屋を建て、機械で土地を耕す者たちから脅迫を受けている…彼らはそこにあるをすべてを破壊する」

 ロックダウン中には、この地域から遺物が複数持ち去られた。昨年7月には、遺跡を一部破壊したとして容疑者2人が逮捕されている。遺跡からはミイラや土器などの遺物が見つかっている。(c)AFP/Carlos MANDUJANO