【1月19日 AFP】インド映画界「ボリウッド(Bollywood)」の超人気俳優が出演するアマゾン・プライム(Amazon Prime)のオリジナル作品をめぐり、印与党の政治家からヒンズー教に対する配慮に欠けていると非難の声が上がり、製作陣と出演者らが謝罪した。

 問題となったのは、サイーフ・アリー・カーン(Saif Ali Khan)さんが主演を務めるドラマシリーズ「タンダブ(Tandav)」。米政治ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段(House of Cards)」のインド版ともいわれるタンダブが15日に配信されると、ヒンズー至上主義のBJPの複数の政治家から批判の声が上がった。

 BJPの政治家らはこのドラマが、ヒンズー教の神々を意図的にあざける内容であり、宗教的感情を軽視しているとし、配信停止を訴えた。

 批判を集めた場面の一つは、大学で公演された劇中劇でヒンズー教のシバ神(Lord Shiva)が「アザーディ(自由)」について語る場面だった。「アザーディ」という言葉は、昨年の首都ニューデリーで起きた反政府デモでスローガンとして使われた。

 ドラマを監督したアリ・アッバス・ザファル(Ali Abbas Zafar)氏は18日、インド情報・放送省が製作陣と出演者に、作品について「深刻な懸念と不安を訴える(中略)多数の苦情と嘆願が届いている」と伝えてきたと、インスタグラム(Instagram)とツイッター(Twitter)に投稿した。

 監督はこの中で、タンダブはフィクションで、その中の行為や人物、出来事が現実と似ていたとしても純然たる偶然だと強調した。さらにタンダブの製作陣と出演者は「もしこの作品が意図せず誰かの感情を傷つけたとしたら無条件に謝罪する」と続けた。

 英字紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)はこの騒動を受け、ムンバイにある主演カーンさんの自宅前では17日、警備に当たる警察官の姿があったと報じた。(c)AFP