【1月18日 AFP】インドで2月、「牛の科学」全国オンライン試験が実施される。ヒンズー至上主義を掲げるナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の政権は、ヒンズー教で聖なる動物とされる牛の保護と振興につながる政策を相次いで打ち出しており、この試験もその一環だ。

 今月6日の当局発表によれば、試験日は2月25日。試験時間は1時間で、設問数は100問あり、複数の選択肢から正答を選ぶ形式だ。子どもから大人まで、外国人も受験でき、問題文はヒンディー語や英語の他、12の地域言語で用意される。

 モディ政権下で発足した機関「国家牛委員会(RKA)」は全国試験の目的について、一般市民の知識を評価するとともに「気づきを促し、教育する」ことだとしている。

 畜産・酪農・水産省によると、受験者全員に検定証を出すほか、高得点者を表彰し、証明書を授与する。

「牛は科学と経済の宝庫だ。人々は、牛の真の経済的・科学的価値に気付いていない」と、RKAのバラブバーイー・カチリア(Vallabhbhai Kathiria)委員長は述べた。RKAが提供する試験用の教材には、牛の品種などの情報に加え、牛を殺すと地震が起きるといった珍説も載っている。

 モディ政権は牛を最重要政策と位置づけ、関連事業や保護活動、牛ふんや尿を活用する研究に多額の税金を投じてきた。こうした中、多様な文化を誇る非宗教国のインド国内では、牛の畜殺と牛肉食を違法化する地域が増加。伝統的に牛肉を食べ、牛の解体を担ってきたイスラム教徒や低カーストのヒンズー教徒らが、ヒンズー教徒の自警団に襲撃される事件が相次いでいる。(c)AFP