【1月13日 東方新報】石油・ガスの生産・供給で中国最大手の企業、中国石油天然気集団(China National Petroleum Corporation)は、2020年の同社の国内石油・ガス生産量が2億トン(石油換算)を突破したと明らかにした。このうち天然ガスの生産量は1億トン相当を超え、初めて石油生産量を上回った。中国政府が進めているエネルギー改革に弾みがつきそうだ。

 中国石油は中国国内の石油・ガスの60%を生産している。同社によると、大慶油田は6年連続で石油3000万トンを安定的に生産。長慶油田は石油・ガスの生産量が初めて6000万トンを突破した。西南油田は300億立方メートルの天然ガスと100億立方メートルのシェールガスを生産。深さ9000メートル近い超深層まで掘削を進めているタリム油田でも石油・天然ガス3000万トンを生産した。

 石油1億トン分は燃焼エネルギーでは石炭1億7300万トン分に相当。石炭から石油に代替すると二酸化炭素の排出量を1億8400万トン削減できる計算だ。樹木1本が年間100キロの二酸化炭素を吸収するとして、18億4000万本の植樹に相当する。

 中国のエネルギーは今も石炭の依存が大きい。2019年のエネルギー消費は石炭が57.7%、石油が18.9%、ガスが8.1%、その他15.3%。発電ベースでも石炭による火力発電が62.1%を占め、水力(17.7%)や風力(5.5%)、原子力(4.7%)、太陽光(3%)を大きく引き離している。近年は石油・ガスの採鉱と開発に多くの資金が投入され、新規の確認埋蔵量が増加。石油の生産は安定して増え、ガスの生産は急増している。

 しかし、中国の経済成長によるエネルギーの「爆食」はそれを上回る勢いだ。中国の原油輸入依存率は2016年の68%から2019年は72%に、天然ガスの輸入依存率は2016年の35%から2019年は45%にそれぞれ高まっている。

 中国政府は新たな中期政策要綱、第14次5か年計画(2021~2025年)で、「エネルギー安保の強化」「ガス業界改革」「脱炭素化社会の構築」を打ち出す方針だ。主要エネルギーを過度に輸入に頼るのは安全保障上の不安定要素となりかねないため、国内の石油・ガスの開発、増産を促進する。ガス業界改革は、パイプライン施設などを公開して中小ガス会社を新規参入させ、競争を促す。

 脱炭素化については、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が2020年9月の国連総会で、「2030年までに二酸化炭素の排出量を減少に転じさせ、2060年までに(二酸化炭素の排出量と除去量を差し引きゼロとする)カーボンニュートラル達成を目指す」と表明している。

 中国は世界最大の二酸化炭素排出国で、世界全体の28%を占めている。エネルギー問題に詳しい識者は「中国は石炭消費の割合が高いため、国内総生産(GDP)あたりのエネルギー消費量が世界平均の1.5倍高く、エネルギー原単位あたりの二酸化炭素排出量も世界平均より30%高い」と指摘。中国が持続的な経済成長を遂げるためにも、エネルギー構造の転換が求められている。(c)東方新報/AFPBB News