【1月11日 AFP】米国のウィリアム・J・ペリー(William J. Perry)元国防長官は8日、核兵器使用の決断を大統領の専権事項とする制度を「時代遅れで不要、極めて危険」と呼び、ジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領に改革を求めた。

 同日、民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、「タガが外れた」ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が残りわずかな在任期間中に核ミサイルを発射する事態を避けるため、国防総省のマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長と協議した。

 ビル・クリントン(Bill Clinton)政権で国防長官を務めたペリー氏は、「バイデン氏は大統領就任後直ちに、核兵器の使用権限を議会で選出された議員団と共有する方針を発表すべきだ」と主張した。

 ペリー氏は8日、核兵器の管理強化を提言する「プラウシェアズ基金(Ploughshares Fund)」のトム・コリーナ(Tom Collina)氏と連名で米政治サイト「ポリティコ(Politico)」に論説を寄稿。バイデン氏は、決して米国から核戦争を開始せず、核兵器の使用を報復に限定すると宣言すべきだと主張した。

 さらに、現行制度は大統領に「世界を一瞬で破滅させる神のごとき力」を与えるもので、「非民主的で時代遅れで不要、極めて危険」と主張した。

 ペリー氏はトランプ氏を「タガが外れている」とした上で、「トランプ氏が世界を終わらせる力を託すに値すると、心の底から思えるのか?」と問いかけた。

 ペリー氏とコリーナ氏は、大統領は「核戦争を始める絶対的な権限」を有しているとした上で、「トランプ氏は数分以内に、1発でも、数百発でも核兵器を発射することができる。他者の意見は必要ない。国防長官も何も言えない。議会も何もできない」と警告。「われわれはなぜこんなリスクを負っているのか?」 (c)AFP