【1月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がホワイトハウス(White House)を去るまで残り2週間を切った。今月20日には、ジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領に政権を交代する。だがそれも、何らかの理由でトランプ氏が免職にならなければ、の話だ。トランプ支持者らが米連邦議会議事堂に乱入した事態をめぐっては強い非難の声が上がっている。

 トランプ氏の残りの在任期間中に起こり得るシナリオを以下にまとめた。

■合衆国憲法修正25条が発動される

 民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長とチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院院内総務は、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領に対し、議会突入をトランプ氏が扇動したとして、合衆国憲法修正25条を発動してトランプ氏を即時免職するよう要求した。

 修正25条では、副大統領と閣僚らの過半数が大統領は職務を遂行できないと判断した場合、大統領を免職することができる。

 1967年に成立した修正25条では、大統領が死亡、辞任、免職、または何らかの理由で職務を遂行できなくなった際の権限継承の規定について明記されている。うち第4項では、副大統領および閣僚らの過半数が両院議長に対して大統領は職務遂行不能であると通告した場合、副大統領が大統領代行を務めることが定められている。

 大統領がこの決定に異議を唱えた場合は議会の決議に委ねられる。大統領は職務不能だと宣言するには、両院で3分の2以上の賛成票が必要となる。

■トランプ氏が弾劾される

 下院の民主党議員らは、トランプ氏に対する弾劾条項を策定。来週には弾劾訴追決議案を下院に提出する見込みだ。

 トランプ氏の任期は残りわずかだが、民主党は弾劾に向け、2019年と同様に下院で弾劾訴追決議案に賛成票を集めるとみられ、共和党からも、弾劾を支持する議員が複数出てくる可能性がある。

 しかし、100議席ある上院の弾劾裁判では、トランプ氏の有罪を認めて罷免するのに必要な票が3分の2以上集まる可能性は低い。