【1月6日 AFP】香港で6日、中国政府を批判する民主派の活動家ら50人が、国家安全維持法(国安法)違反で逮捕された。これに対し、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)次期政権は普遍的権利に対する「攻撃だ」と批判している。

 中国当局は2019年に大規模な民主派デモが起きた香港での弾圧を強めており、昨年6月末に同法が施行されて以来、最多の一斉逮捕となった。立法会(議会)の民主派の元議員・林卓廷(Lam Cheuk Tin)氏から若い活動家らまで、多くの反体制派が逮捕された。

 反体制派の活動家や政党はフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)への投稿で、少なくとも21人が、多くは「国家転覆」をたくらんだ容疑で逮捕されたと書いている。

 匿名でAFPの取材に応じた2人の警察幹部は、新設された国家安全維持機関によって「約50人」が逮捕されたと語った。

 香港の警察当局からは、逮捕者数と逮捕理由に関する質問への返答はなかった。

 反体制派の関係者によると、逮捕の理由は昨年、立法会選の前に民主派政党が実施した予備選に関連しているという。この立法会選は結局、延期された。

 区議会議員を務める伍健偉(Ng Kin-wai)氏はフェイスブックで、自宅に警察が来た時の様子を生中継した。その中で警官は伍氏に対し「国家転覆罪で逮捕する」と告げ、2020年の立法会選で35人以上の当選者を出すために「35+市民投票」と銘打った予備選に参加したと述べた。

 さらにこの警官は、予備選は政府を「著しく干渉、妨害、または攻撃することを目的としたもの」だったと述べ、国家転覆の容疑を正当化した。

 米国のバイデン次期大統領が国務長官に指名したアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)氏は6日、「民主派活動家らの一斉逮捕は、普遍的権利を求め果敢にも声を上げた人々に対する攻撃だ」と、自らのツイッターアカウントに投稿した。

 同氏は、バイデン次期政権は「香港市民を支持し、中国政府による民主主義の弾圧に反対する」と続けた。(c)AFP/Jerome TAYLOR