【1月7日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の2回目のワクチン接種は遅らせるべきなのか。投与量は減らすことが可能なのか。複数の製薬会社のワクチンの組み合わせも、同じように効くのだろうか。

 これらは現在、各国政府が直面している疑問だ。世界各地では新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れ、ウイルスは引き続き猛威を振るい、さらに感染力が強いとされる新たな変異株が拍車をかけている。

 英保健当局は、同国で使用が許可されたワクチンの1回目から2回目の接種の間隔を最大3か月延長すると発表した。これは奨励期間の3~4週間を優に超えるものだ。

 これが主眼とするのは、ワクチン接種を直ちに受けられる人数を拡大することだ。たとえ個々人に対する保護レベルが、2回目の接種で達成されるレベルには及ばないとしてもだ。

 世界保健機関(WHO)は5日、英国の立場を事実上支持し、米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が開発した新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を、「例外的状況」下では数週間遅らせることができるとした。

 英当局はまた、在庫がない場合は、1回目とは異なる製薬会社のワクチンで2回目の接種を行う許可を出している。

 他方、米国はより慎重な方針を取っている。

 米食品医薬品局(FDA)のスティーブン・ハーン(Stephen Hahn)長官は4日、英国の動きを時期尚早で確実な証拠に基づいていないと懸念を表明。この議論で専門家らの間の見解の違いが露呈した。

 理想的には、方針決定は臨床試験(治験)が実施された枠組みのみに基づいて行われるべきだ。だが、コロナの制御が利かなくなりつつあり、現状は理想的とはほど遠いとする意見もある。

 ワクチンの混合については、エール大学(Yale University)の免疫生物学者、岩崎明子(Akiko Iwasaki)氏は理論上は効くはずだとしているが、専門家らはさらなる研究が必要だという認識で一致している。

■国民を混乱させかねない

 ワクチン研究者でエール・グローバルヘルス研究所(Yale Institute for Global Health)の所長サード・オメル(Saad Omer)氏とフロリダ大学(University of Florida)の生物統計学者のナタリー・ディーン(Natalie Dean)氏の両氏ともが指摘するのは、進むべき道は、新型コロナウイルス感染症の発症予防に必要な抗体価などの生物学的マーカーを見つけるためのさらなるデータ分析にあるかもしれないということだ。

 この判断を可能とするには、既存の治験結果を詳細に調べて閾値(いきち)を算出し、次にそこに到達するのに必要なワクチンの投与量を見極める小規模の研究を立ち上げることだ。

 米国立衛生研究所(NIH)のジョン・マスコーラ(John Mascola)氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に5日、この方法に基づき、米製薬大手モデルナ(Moderna)のワクチン投与量を半分にしても同程度の保護が可能かを見極める研究が進行中であると明らかにしている。

 先のディーン氏は、変更をめぐる議論は国民を混乱させかねないとの懸念を示し、「信頼を損なうおそれのあるあらゆることを案じている」と語った。(c)AFP/Issam AHMED