■汚染源の企業

 膨大な量の二酸化炭素排出に責任がある化石燃料企業は矢面に立たされ、賠償金の支払いと業務慣行の変更を迫られている。

 ドイツの裁判所は2017年11月、アンデス山脈(Andes)における気候変動被害をめぐり、ペルー農家が独エネルギー大手RWEに対して起こした訴えの審理を決めた。

 フランスでは複数のNGO(非政府組織)が、二酸化炭素排出削減への取り組みが不十分だとして、国際石油大手トタル(Total)を訴えている。

 昨年12月には、環境保護グループが石油大手シェル(Shell)に対し、パリ協定(Paris Agreement)に定められた排出目標を達成するようオランダの法廷で迫った。

 そしてオーストラリアの裁判所も2019年、気候変動を悪化させるとして新規の露天掘り炭鉱開発を認可しなかった。

■市民の不服従RWE

 汚染源の大企業に立ち向かう活動家は、しばしば法廷で「気候非常事態(Climate emergency)」を訴えるが、判事の対応はまちまちだ。

 スイスの控訴裁判所は昨年10月、金融大手クレディ・スイス(Credit Suisse)の銀行建物に、化石燃料関連の融資に対する抗議行動として赤ペンキをかけた被告を無罪とした。

 一方、同9月には、スイスの別の控訴裁判所が、テニスのロジャー・フェデラー(Roger Federer)選手の格好でクレディ・スイスの支店に侵入した活動家らに対し、有罪判決を下している。スイス出身のスター選手と同社との間のスポンサー契約への抗議だった。

 フランスでは、気候政策の「不在」に抗議し、活動家らが市庁舎に飾られたエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の肖像写真を外して、持ち去った。この一件では、活動家の一部が有罪判決を受けた。