【1月4日 AFP】イランのガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官とイラク人のアブ・マフディ・ムハンディス(Abu Mahdi al-Muhandis)副司令官が米軍の無人機攻撃により殺害されてから1年となった3日、イラクで数千人規模の追悼集会が行われた。参加者らは「アメリカにノーを」と声をそろえ、報復を訴えた。

 集会が開かれたイラクの首都バグダッド中心部、タハリール広場(Tahrir Square)には、多くが黒い服を着た親イランの支持者らが集まった。支持者らは英雄視するソレイマニ氏らに追悼の意を表した上で、イラクのムスタファ・カディミ(Mustafa al-Kadhemi)首相を臆病者と呼び、「アメリカ人のスパイ」と非難した。2日夜には殺害現場となった場所に数千人が集まり司令官らを追悼。殺害から1年の節目に合わせてここ数日、イラン各地のほかシリア、レバノン、イエメンなど他国の支持者らも追悼行事を行った。

 米軍は昨年1月3日、バグダッドの国際空港近くで車両2台を攻撃し、ソレイマニ司令官、ムハンディス副司令官のほか8人を殺害。これにより昨年初頭、米国とイランは戦争の寸前にまで達した。

 イランで「殉職者」とされるソレイマニ氏は、同国で肖像画や銅像が飾られているほか、同氏をたたえる歌やテレビシリーズができるなどさまざまな形で追悼されてきた。3日には、同氏の幼少期や青年時代をつづった自伝と、同氏を記念した郵便切手がイラン政府により公開された。

 イラクではこれまで、イランの支援を受ける強力な親イラン武装勢力の連合体「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」が、かつて同隊を統率したムハンディス副司令官とソレイマニ司令官を追悼する過激な集会を行ってきた。ソレイマニ氏はかつて、イラン革命防衛隊(Iranian Revolutionary Guard Corps)の海外作戦部隊のトップを務めていた。人民動員隊はイラクの防衛組織に正式に統合したものの、同国のカディミ政権に対立する姿勢を強めており、3日にバグダッドで行われた集会は人民動員隊の勢力アピールの場となった。(c)AFP/Salam FARAJ