【12月30日 AFP】レイプ事件を扱った裁判ドラマで、警察が被害者を厳しく尋問する様子を描いたバングラデシュの映画監督が逮捕された。

 バングラデシュでは今月中旬、国民的スター俳優シャキブ・カーン(Shakib Khan)さんが出演する裁判ドラマ「ナバブLLB(Nabab LLB)」の前半がストリーミング配信された。アノンノ・マムン(Anonno Mamun)氏(43)が監督するこの作品は架空の事件を通じ、保守的なバングラデシュ社会におけるレイプや女性に対する暴力、その被害者が受ける処遇などを描いている。

 作中で被害者に対する警察の態度が批判的に描かれていたことが当局の怒りを買い、マムン監督と警官を演じた俳優のシャヒーン・ムリダ(Shaheen Mridha)さん(46)は25日に逮捕された。

 ダッカ首都圏警察の公式サイトによると、「攻撃的かつみだらな会話を含む作品の制作または出演」が逮捕の理由とされている。

 同警察は、「ドラマ内の警官は非常に攻撃的なしぐさやみだらな言葉を使って女性を尋問しており、健全な娯楽作品とは対極にある。また、警察に対する否定的な認識を一般に生じさせるものだ」と批判した。

 2人は尋問シーンとは別の性的暴行を描いたシーンをめぐり、「わいせつな内容を含んだ映像を制作した」罪に問われている。

 警察はまた被害者を演じた女優のオルシタ・スポルシア(Orchita Sporshia)さん(27)の逮捕も視野に入れている。23日にAFPの取材に応じた警察幹部は、ドラマについて「警察全体に対する侮辱だ」と語った。(c)AFP