中国 インターネット預金に急ブレーキ、産業の発展の余地は閉ざされたのか
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【1月1日 CNS】中国では以前から、金融科学技術プラットフォーム企業によるインターネット預金商品からの撤退が注目を集めている。プラットフォーム企業が自主的にインターネット預金事業を停止する背景には、何があるのか。インターネット預金業の急ブレーキは、業界の生存と発展の余地が閉ざされてしまうことを予言しているのか。
12月18日、アント・グループ(Ant Group)は率先してインターネット預金商品から撤退した。その後、京東金融(JD Finance)、陸金所、テンセント理財通(Tencent LiCaitong)などのプラットフォーム企業も相次いでインターネット預金事業を停止した。
規制当局は管理監督措置を講じて企業に関連事業から撤退するよう公に求めているわけではない。しかし、多くの専門家は、企業側の自主的な撤退の背景には当局の動きと関連があるとみている。
中国人民大学(Renmin University Of China)財政金融学院の鄭志剛(Zheng Zhigang)教授は、最近の世論の動向や管理監督措置強化の流れと関連があると指摘した。プラットフォーム企業の独占に対する中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)の官僚の発言や、措置もそうした流れと関係しているとしている。
最近、中国人民銀行金融安定局の孫天琦(Sun Tianqi)局長は、複数の公開の場で、インターネット預金商品には多くの問題があるとし、「無免許運転」、「預金金利を実質的に引き上げ、預金金利市場メカニズムの働きを妨害する」などと批判した。さらに「インターネットプラットフォーム企業を通じて預金を取り込むハイリスクな銀行もおり、流動性リスクが顕在化してきている」と強調した。
インターネット預金に対する管理監督は以前より既に始まっていたようだ。今年3月、中国人民銀行は同行の「預金金利管理強化に関する通知」を公布し、銀行に対し、定期預金の早期引き出しの際の預金年数に基づく金利適用などの規制外預金の「イノベーティブな」商品を規定に基づいて見直すよう求めた。一方で、インターネット預金の多くは、このような預金年数に基づく金利適用によって投資家を引きつけてきた。
この度のインターネット預金の新規事業の急停止に際し、インターネット預金の発展の余地についても疑問が呈されている。
これに対して、鄭志剛氏は、現在の政策と社会世論の環境の下では、企業のインターネット預金商品からの撤退には合理性があるとしながら、長期的に見て、ハイテクによって生まれたインターネットプラットフォーム企業と伝統的な銀行にはより良い協力の余地が残っていると指摘した。
鄭氏は、この問題の解決の後には、新金融やインターネット金融、伝統的な銀行は、自らの発展のため、そして、お互いの発展のため、どのような協力の余地があるのかを冷静に考えていくべきだと強調した。(c)CNS-中新経緯/JCM/AFPBB News