【12月19日 CNS】中国江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)で、10万人の市民が電子通貨「デジタル人民元」を使う実証実験が行われた。10月の広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)に続く第2弾。今回は店舗での支払いだけでなくオンラインショッピングにも使用可能となり、正式発行を想定した形となっている。

 事前に抽選を行い、当選した10万人のスマートフォンの専用アプリに200元(約3200円)ずつ配布。総額は2000万元(約3億2000万円)。中国で恒例の12月12日のネット通販値引きセール「双12」に合わせ、実証実験は11日から始まった。利用者は、市内のスーパーや飲食店など1万店舗でQRコードをかざしデジタル人民元を支払ったほか、ネット通販大手の京東集団(JD.com)のオンラインショッピングやデリバリーサービス、タクシーの配車にも活用した。デジタル人民元の有効期限は27日まで。

「双12」のオンラインショッピングではデジタル人民元による支払いが2万件近くあり、「80後(1980年代生まれ)」と「90後(1990年代生まれ)」の若者が全体の80%近くを占めた。

 中国では微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)や支付宝(アリペイ、Alipay)を使ったスマートフォン決済が浸透しており、実験の利用者からは「デジタル人民元の支払いも簡単で問題なかった」という感想が多かった。ある店舗側は「微信支付や支付宝と違い、デジタル人民元は手数料が不要。資金繰りが楽になる」と話している。

 デジタル人民元は中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)などが正式発行を目指している。紙幣発行のコスト削減や偽造紙幣の防止につながり、国際取引の簡素化や違法な資金移動の把握などの効果が考えられる。実証実験は深セン、蘇州(Suzhou)に続いて、河北省(Hebei)雄安新区、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)、2022年北京冬季五輪の一部会場で行う予定。

 世界各国の中央銀行はデジタル通貨発行の研究を進め、金融デジタル時代の主導権を握ろうと競い合っている。日本は日銀が2021年度の早い時期に、実現可能性を検証する実証実験を始めると表明している。(c)CNS-北京日報/JCM/AFPBB News