【12月30日 東方新報】中国指導部が翌年の経済運営方針を決める「中央経済工作会議」が16~18日、北京で開かれた。米国との長引く経済摩擦に対応した「内需拡大の戦略的基点の堅持」や、「環太平洋連携協定(TPP)への参加検討」など8項目の重要課題を掲げた。

 会議では現在の経済情勢について、米中経済摩擦と新型コロナウイルスの世界的流行により外部環境の不確実性は拭えず、「中国経済回復の基盤がまだ固まっていない」「来年の世界経済情勢はまだ複雑で厳しい」と指摘。「政策運営は急転しない」とした上で、「財政政策は質と効率向上させ、より持続可能なものにする」「金融政策は穏健で合理性と節度を備えなければならない」との方針を示した。2020年はコロナ対応で総動員した財政政策と金融政策を2021年は正常化させていくとみられる。

 そして2021年の重要課題について、8項目を列挙。このうち「国家の戦略的科学技術力の強化」「サプライチェーンの自主管理能力の向上」「内需拡大の戦略的基点の堅持」は、中国政府が最近掲げる「双循環」に対応したもの。国内の技術革新や製造、供給、消費を拡大する「国内大循環」を中心に世界経済と連携する戦略だ。輸出や海外技術への依存度を減らし、外部環境に左右されない経済体制を目指す。

 また、重要課題の一つとして「TPPへの参加を積極的に検討する」とあらためて表明。会議では「引き続き多国間主義の旗を高く掲げ、人類運命共同体の構築を推進すべきである」と強調しており、米国の一国主義と対照的に多国間主義の姿勢を貫くことで、中国の影響力を拡大しようとしている。

 重要課題は他に「食料安全保障の強化」「独占禁止の強化と無秩序な資本の拡大防止」「大都市の住宅問題解決」「二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取り組み」を掲げている。(c)東方新報/AFPBB News