【12月27日 AFP】感染力がより強い新型コロナウイルスの変異種が世界中で広まる中、一部の欧州諸国では26日、コロナワクチンの接種が始まった。

 欧州連合(EU)の規制当局は21日、米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンを承認。これを受けEU全27か国では、27日からワクチン接種が始まる予定となっていた。

 同ワクチンの第1便は、感染被害が大きいイタリアやスペイン、フランスなどの欧州諸国に26日朝に到着。老人ホームや介護職員への配布準備が整っている。

 だが一部の国では、26日からワクチンの接種が始まった。ドイツでは、介護施設に入居している101歳の女性が初の接種者となった。ハンガリーとスロバキアでも最初のコロナワクチン接種が行われた。

 これら欧州の3か国に先立ち、中国、ロシア、英国、カナダ、米国、スイス、セルビア、シンガポール、サウジアラビアでコロナワクチンの大規模接種が始まっている。

 しかし、英国で検出され、他の欧州諸国や日本にも広がった変異種ウイルスをめぐっては、不安が消えない。

 新たに定められた「国際疫病対策の日」の27日を控え、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は26日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)から教訓を得る時だと主張。

「あまりに長い間、世界はパニックと軽視のサイクルをめぐってきた」。テドロス氏はこう指摘し、「われわれは流行を金で解決しようとし、終わったら忘れて次の流行を防ぐために何もしない。目先のことしか見えておらず危険だ。率直に言って理解し難い」と述べた。(c)AFP/AFP bureaus