【12月25日 AFP】米オハイオ州コロンバス(Columbus)で今週、武器を持たないアフリカ系米国人男性が警官に射殺され、同国の人種的不公平と警察の過剰な力の行使に対する新たな怒りが巻き起こっている。

 アンドレ・モーリス・ヒル(Andre Maurice Hill)さん(47)は21日夜、民家のガレージにいたところ、通報を受けて現場に駆け付けた警官に複数回撃たれた。

 警官のボディーカメラの映像には、ヒルさんが左手に携帯電話を持って歩いてくる場面が捉えられているが、右手は映っていない。数秒後、警官が発砲し、ヒルさんは倒れた。

 映像には音声がなく、警官のアダム・コイ(Adam Coy)氏がなぜ発砲したのかは不明。ヒルさんは武器を持っていなかった。

 コイ氏ともう1人の警官は発砲後、数分間待ってからヒルさんに近づいた。ヒルさんはまだ息があったが、その後死亡した。

 地元メディアの報道によると、コイ氏は以前、過度な力の行使について苦情を受けていた。

 ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で警察の拘束下で死亡したアフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんの遺族らの代理人を務めるベン・クランプ(Ben Crump)弁護士は23日、「またしても、警官が黒人男性を見て、危険な犯罪者と決めつけた」と指摘。「警官が関与した発砲という悲劇の連続」を非難した。

 コロンバスのアンドリュー・ギンザー(Andrew Ginther)市長は23日に記者会見を開き、ヒルさんの死に「憤慨している」と発言。ヒルさんは現場となった民家の住民の知り合いだと説明。「(ヒルさんは)客であり、侵入者ではない」

 ギンザー氏はさらに、現場にいた警官2人がヒルさんに応急手当をしなかったことに不快感を示し、コイ氏の「即時免職」を求めた。

 コロンバスでは今月4日にもアフリカ系米国人が警官に射殺されている。

 ケーシー・グッドソン・ジュニア(Casey Goodson Jr)さん(23)は4日、帰宅中に警官に複数回撃たれて死亡した。グッドソンさんの家族は、手に持っていたサンドイッチを警官が銃と勘違いしたと述べている。(c)AFP