【12月24日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は22日、計20人に対する恩赦や減刑を発表した。対象には汚職で有罪となった共和党の元議員や、2007年にイラクの首都バグダッドで民間人14人を殺害した罪で有罪判決を受けた民間警備会社ブラックウオーター(Blackwater)所属の元軍人らが含まれ、反発の声を生んでいる。

 今回の対象にはこれまでの恩赦と同じく、トランプ氏を強く支持している人々や、職務中の発砲により殺人罪で有罪判決を受けた元軍人や法執行機関職員らが含まれる。

 イラクでは、ブラックウオーターの元警備員4人に恩赦が与えられたことに対する怒りと悲しみの声が上がった。いずれも元軍人の4人は2007年、バグダッドのニスール広場(Nisur Square)で正当な理由なく群衆に向け発砲。これにより少なくとも民間人14人が死亡(イラク側は死者数を最大17人としている)、数十人が負傷し、米・イラク関係は大幅に悪化した。

 4人は2015年に殺人と過失致死で有罪判決を受けた。米政権はこれまで訴訟への介入を避けてきたが、ブラックウオーターの創業者エリック・プリンス(Erik Prince)氏はトランプ氏と緊密な関係にある支持者で、トランプ政権で教育長官を務めるベッツィー・デボス(Betsy DeVos)氏の弟だ。

 ニスール広場で殺害された医学生の元同級生で、匿名を条件にAFPの取材に応じた男性は「彼らにとって、私たちの血は水よりも安く、正義と責任追及を求める私たちの声は邪魔でしかない」と非難。イラクでの従軍経験を持つマーク・ハートリング(Mark Heartling)退役中将は、4人の恩赦について「言語道断で不快」だと批判した。

 トランプ氏はさらに、2016年の大統領選へのロシアの介入をめぐる捜査で有罪となったトランプ陣営の元外交政策顧問ジョージ・パパドプロス(George Papadopoulos)氏とオランダ人弁護士アレックス・バンデルズワン(Alex van der Zwaan)氏や、共和党の元議員3人にも恩赦を与えた。市民団体「ワシントンの責任と倫理を求める市民(CREW)」は元議員の3人について、「近年で最も腐敗した議員」と指摘しているが、5人はいずれもトランプ氏への支持を表明してきた人物だ。

 CREWは「トランプ氏が今夜送ったメッセージは明確だ。どんなにひどい罪を犯しても、トランプ氏に忠誠ならば正義は下されないということだ」と批判した。(c)AFP/Paul HANDLEY