映画『鬼滅の刃』 歴代最高興収に王手
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■コロナ禍にマッチする鬼の表現
映画『鬼滅の刃』のヒットの一因には、有名声優の起用や、企業や飲食店とのタイアップといった戦略的な販促キャンペーンも挙げられる。一方で、注目度の高い作品がここしばらく公開されていないことから、例年より競合作品が少なく、『鬼滅の刃』の独走を生んでいると指摘する声もある。
だが、大東文化大学(Daito Bunka University)の助教で、マンガと心理学を専門とする井島由佳(Yuka Ijima)氏は、『鬼滅の刃』は家族の絆や善と悪の戦いに焦点を当てながら、特に今日的なテーマがうまく生かされていると指摘する。
鬼は日本では昔から恐れの象徴として表現され、病気というものが目に見えないことから、病を実体として表すために鬼が使われたと井島氏は説明。「日本で鬼という風に表現されたものの中で、最初の恐れは天然痘だった」と続け、はやり病は鬼として表現されてきたため、新型コロナウイルスが流行している今の状況で、「時代にもマッチしている」と述べている。
コロナ禍で経済が停滞している日本にとって、同作のヒットは久しぶりに明るいニュースとなった。あるシンクタンクの試算によると、シリーズ全体の経済効果は日本だけで2700億円に上っている。
「鬼滅の刃」フィーバーは衰えを見せる気配がない。今月初め、漫画「鬼滅の刃」最終巻となる23巻の発売日には書店の外に長い行列ができた。シリーズの累計発行部数は1億2000万部を突破し、14の言語に翻訳されている。
映画はアジア諸国で公開されており、来年には欧米でも公開が予定されている。(c)AFP/Mathias Cena and Katie Forster