【12月18日 AFP】ドイツ・ベルリンで、帝政時代の盟主プロイセン王国の王宮が往時のバロック様式の外観で復元され、複合文化施設「フンボルトフォーラム(Humboldt Forum)」として生まれ変わった。

 ベルリン中心部に16日に開館した施設には、ベルリン国立民族学博物館(Ethnological Museum of Berlin)やベルリン国立アジア美術館(Museum of Asian Art)などが入る。ただ、アフリカ、アジア、オセアニアの旧植民地から収集した文化財を中心に2万点近くを収蔵・展示する博物館・美術館をめぐっては、文化財を返還すべきだとの批判があり、議論が高まりつつある。

 ベルリンのミヒャエル・ミュラー(Michael Mueller)市長は16日、メディア向けの発表会で間接的にこの問題に触れ、フンボルトフォーラムは「ドイツの歴史と世界における立ち位置を顧みる場所」になるだろうと述べた。

 大規模な復元計画は2013年に始まったが、建設費が約6億7700万ユーロ(約860億円)に膨れ上がり、当初計画を約1億ユーロ(約130億円)も超過した。

 元の王宮は、第1次世界大戦(World War I)末期にドイツ帝国が崩壊するまで、植民地政策を推進した皇帝の一族ホーエンツォレルン(Hohenzollern)王家の住まいとなっていた。第2次世界大戦(World War II)中の空爆で、建物は損傷。戦後に共産主義の東ドイツ政府によって完全に破壊され、代わりに近代的な共和国宮殿(Palace of the Republic)が建てられていた。(c)AFP/Isabelle LE PAGE