字幕:日本の農家が生産する「緑の黄金」ワサビを求めて
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■ワサビは脇役ではなく主役になる商品
ワサビの辛味成分はアリルイソチオシアネートと呼ばれる化合物だ。からしや大根、セイヨウワサビの辛味のもとでもあり、抗菌作用があるという研究結果が報告されている。
東京都心にあるすし店の大将、松下敏也(Toshiya Matsushita)さんは、加工品のワサビを使うことは考えたこともないと言う。「口の中に入れると粉っぽい感じで、風味もあまりありません」
それに比べ、「(新鮮な生ワサビは)魚の臭みを取ったり、魚の味を引き上げてくれたり。あと、殺菌効果があるので、それで使っています」とし、「辛いですが、甘味もあります」と続けた。
「おろし方によって、味や舌触り、辛さが変わります」
生ワサビのファンになる人は多いが、出回っているのは主に松下さんのすし店のような飲食店だ。だが、新型コロナウイルスの感染が広がる中、飲食店はサービス業の例に漏れず、通常通りの営業がままならない状況にある。そのため、ワサビ農家は販路拡大を迫られた。
卸売業者はスーパーマーケット・チェーンに在庫を売り出している。珍しい商品の味で新たな顧客を獲得するのが狙いだ。だが、値段の高さが相変わらずネックになっていると塩谷さんは指摘する。
一方、塩谷さんのワサビ田から車で約1時間のところにある山本食品(Yamamoto Foods)では、薬味用の生ワサビ以外にも、ワサビを使ったさまざまな商品を提供している。
店長の安森真弓(Mayumi Yasumori)さんは、「薬味としてのワサビがよく知られているんですけれども、それだけじゃなくて、ワサビは本当に茎も花も葉っぱもすべて食べられる植物なんです」と話し、すべての部位を使った商品を味わって「ワサビってこんなにおいしかったんだ、こんな使い方ができたんだ」ということを知ってほしいと言う。「脇役ではなく主役になる商品」だとして、「ワサビをもっと面白く」をモットーに、ワサビの魅力を国内外に発信していきたいと話した。
映像は2020年11、12月に取材したもの。(c)AFP/Mathias CENA