【12月18日 AFP】ロシアの組織的なドーピング問題をめぐり、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が17日に同国の処分期間を半分に軽減したことについて、米国反ドーピング機関(USADA)は、薬物違反との国際的な闘いにとって「悲劇」であると主張し、裁定は「弱腰で抜け穴だらけ」と厳しく批判した。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、ロシアの処分を当初の4年から2年に軽減したCASの裁定について、世界反ドーピング機関(WADA)とクリーンなアスリートにとって「重大な損失」であると反発した。

 ロシアは2021年の東京五輪をはじめ、2022年の北京冬季五輪とサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)を含む国際大会への選手団派遣を2年間禁じられるが、自国アスリートが中立の立場で競技に臨むことは認められた。同国は2018年の平昌冬季五輪でも、同様の処分が適用された。

 タイガート氏はAFPの取材に対して、この制裁内容では選手が「ロシア」と書かれた母国カラーのユニホームを着て競技に臨める上に、同国の政府関係者は開催国から招待されれば大会に出席することが可能であると指摘し、「あまりにも抜け穴だらけ」と述べた。

「国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーは処分から除外される。選手をサポートするスタッフや政府関係者も例外が適用される。たとえ過去に不正行為に直接関与していたとしても、彼らには何の影響もない」

「ロシアカラーは健在となる。平昌五輪で見たようにまたしても茶番が行われる。ロシア選手は母国カラーのユニホームを着ることになるし、欠けるのは優勝した表彰式での国旗と国歌だけだ」 (c)AFP