【12月18日 AFP】ロシア五輪委員会(ROC)は17日、同国アスリートの五輪出場を全面的に禁止しなかったスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定に満足しているとの認識を示した。

 CASはこの日、組織的なドーピング問題により、来年の東京五輪と2022年の北京冬季五輪、さらにはサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)を含めスポーツの国際大会からロシア選手団を2年間出場禁止にすると発表した。しかし、処分期間は世界反ドーピング機関(WADA)が求めていた4年間の半分に軽減された。

 ROCのスタニスラフ・ポズドニャコフ(Stanislav Pozdnyakov)会長は報道陣に対し、CASがロシア選手団を「全面的」に出場禁止にせず、ドーピングと無関係であると証明された選手は中立旗の下で参加できると決定したことに満足感を示した。

 また、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のトップを代理で務めているミハイル・ブハノフ(Mikhail Bukhanov)氏は、「きょうの結果はロシアの勝利だ」と歓迎し、「裁判所はWADAの主張を受け入れないと決定した。もちろん、これは重要な先例である」とコメント。

 その一方で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を含めロシア政府の高官が五輪に出席するのをCASが禁じたことは、「受け入れ難い」と反発した。

 ロシア・モスクワにある反ドーピング検査所の元所長グリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏が、2014年ソチ冬季五輪における組織的ドーピングを告発して以来、同国は4年間にわたりドーピング問題の混乱に陥っている。

 ロシアは出場停止処分について法律的に回避できないと考えている。また、プーチン大統領はこれまで、WADAの裁定は「政治的動機」によるものと批判していた。

 国営ロシア通信(RIA)はこの日、オレグ・マティツィン(Oleg Matytsin)スポーツ相が、ロシア政府の高官に対する五輪への出席禁止処分を「遺憾だ」と話し、「ロシアはこの数年間、スポーツ界の発展に大きく貢献してきたと確信している」と述べたと伝えた。(c)AFP