【12月10日 AFP】サッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2020-21)でも試合を裁いているチェコ人審判のパベル・クラーロベツ(Pavel Kralovec)氏が、国内の試合で八百長に関わっていると、9日に同国メディアが報じた。

 この件にはチェコサッカー協会(FACR)のロマン・ベルブル(Roman Berbr)元副会長が関与しており、同氏は八百長の疑いで10月から拘束されている。

 警察の盗聴記録を引用した同国日刊紙DNESは、スパルタ・プラハ(Sparta Prague)がスロヴァン・リベレツ(Slovan Liberec)を下してヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2020-21)出場権を獲得した今年7月のチェコ・カップ(Czech Cup 2019-20)決勝を前に、ベルブル氏がクラーロベツ氏を呼び出したと伝えた。

 盗聴記録によると、ベルブル氏は「至極簡単なことで、一つ政治的なことが必要だ。分かるか? 分かるだろうとも。月曜日にヨゼフ・クルラ(Josef Krula)が立ち寄ったんだ」と語ったという。

 クルラ氏はスパルタのスポーツ・マネジャーで、元審判という経歴を持つ。

 理解したと応じたクラーロベツ氏は、その試合で相手選手を踏みつけたスパルタのマルティン・フリーデク(Martin Frydek)への退場処分を、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)から要求されながらも拒み、後に批判の的となった。

 43歳のクラーロベツ氏は、8日に行われた欧州チャンピオンズリーグのチェルシー(Chelsea)対FCクラスノダール(FC Krasnodar)戦で笛を吹いていた。

 FACRは9日、同氏を今年いっぱいチェコリーグの担当審判から外すと発表している。

 また、今季のヨーロッパリーグでACミラン(AC Milan)、リール(Lille OSC)、セルティック(Celtic)とともに入ったグループHから勝ち上がるチャンスを逃したスパルタは不正行為を否定しており、「徹底した調査」を求めているという。

 ベルブル氏は10月に八百長事件の組織の一員として拘束され、FACR副会長の座を退いた。66歳で元審判員のベルブル氏は2013年から副会長を務め、国内メディアによれば、長年にわたりチェコサッカー界の陰で糸を引いていたという。(c)AFP