【12月15日 AFP】新型コロナウイルスの流行により、服飾業界ではこれまで当たり前とされてきたことが覆されている。だが、イタリア発のファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」を率いるデザイナー、ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)氏(62)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)氏(58)は、この危機的状況のおかげで、かえって発想が豊かになり、臨機応変に対処できるようになったと考えている。次回のオートクチュールコレクション用の短編動画を撮影したイタリア・ミラノ(Milan)の豪邸で、両氏がAFPの取材に応じた。

 家族を題材にしたこの短編動画は、ランウェイを歩く従来のファッションショーの代わりに今月7日からオンラインで配信されている。

Q:デザイナーとして、この特別な時期をどう乗り切るか?

ガッバーナ氏:ドメニコも私も前向きな性格で、何かができないからといってめげることはない。もちろん、いろいろなことが以前のようにいかないのは事実だが。

 でも、これはぜひ言っておきたいのだが、1984年にブランドを立ち上げたときの私たちはわずか300万リラ(現在の1500ユーロ、約18万9000円)しか持っていなかった。コートを作ろうと思っても、カシミヤは無理だったのでフリース素材にしたし、ジャージー素材でも服を作った。高価な生地を買うお金がなかったからだ。これが買えない、あれができないという状況は、今と似ている。

 こうした状況にいると、創作力が研ぎ澄まされる。ドメニコも私も、追い詰められると最善を尽くす。挑戦するのが大好きだから。

ドルチェ氏:こういうところが「イタリア人らしさ」で、私たちは1000%イタリア人。大変なことが起きたときは創意工夫を凝らす必要がある。そこで止まっていてはだめ。自分の運命を嘆いている場合じゃない。楽観的に前向きな気持ちで対処しないと。

Q:高級ブランドをめぐる状況は複雑だ。今年の売上高は世界的に20%以上の落ち込みが予想されている。ドルチェ&ガッバーナの場合は?

ガッバーナ氏:ほとんどのことはオンライン上でなされている。eコマース(電子商取引)では4か月間で170%の伸びを記録している。顧客が皆、オンラインで購入しているためだ。