【12月9日 AFP】ベルギー首都ブリュッセルの公会堂に長年飾られていた絵画が、フランドルの巨匠ヤーコプ・ヨルダーンス(Jacob Jordaens)の作品であることがわかった。ベルギーの王立文化財研究所(Royal Institute for Cultural Heritage)が8日、発表した。

 専門家による分析の結果、この作品は複数確認されているヨルダーンスの「聖家族(Holy Family)」の最古版で、17世紀初頭に描かれたものであると判明。この「驚くべき」事実は、王立文化財研究所が国際的な専門家と共にブリュッセルのサンジル(Saint-Gilles)地区にある文化財の目録を作成していた際に明らかになった。

 この作品は1960年代から、サンジルにある公会堂の一室の高い場所に掛けられていた。

 ペーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)、アンソニー・バン・ダイク(Anthony van Dyck)と並んでフランドルのバロック絵画の代表画家であるヨルダーンス。王立文化財研究所によれば、今回の作品はヨルダーンスが当時25歳だった1617年か1618年に制作されたという。

 分析の結果、この作品のパネルに使用されている木材が、バン・ダイクが使用したものと同じであることがわかった。

 美術史家コンスタンタン・ピオン(Constantin Pion)氏によれば、バン・ダイクとヨルダーンスは、同時期にルーベンスのアトリエにいた可能性が「非常に高い」という。

 王立文化財研究所によれば、ヨルダーンスは同じ構図を用いながら変化を加えて他に三つの「聖家族」を描いている。これらは米ニューヨークのメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)、ロシアのサンクトペテルブルク(St. Petersburg)にあるエルミタージュ美術館(Hermitage)、独ミュンヘン(Munich)のアルテ・ピナコテーク(旧絵画館、Alte Pinakothek)に所蔵されている。

 公会堂に飾られていた作品は、修復後にブリュッセルにあるベルギー王立美術館(Royal Museums of Fine Arts of Belgium)で来年末に公開される予定。(c)AFP