【12月7日 東方新報】中国で40年の歴史を誇る「北京国際マラソン」が新型コロナウイルスの影響で初めて中止が決まった。2022年北京冬季五輪のテスト大会として来冬に行われる予定の国際大会も次々と中止。中国メディアは「コロナ禍を克服し、経済も回復しつつある」としているが、コロナの第3波が世界中で猛威を振るう中、感染が再び拡大することに神経質となっている。

 北京国際マラソンは1981年から始まり、中国本土では最も歴史のあるマラソンの国際大会だ。例年50か国から3万人の選手が参加し、陸上競技の国際連盟ワールドアスレティックスから最高級の「ゴールドラベル」ロードレースに格付けされている。北京国際マラソン組織委員会は今月3日、年内の中止を正式に発表した。

 一方、それに先立つ11月29日には、上海市、南京市(Nanjing)、成都市(Chengdu)でマラソン大会が開催され、中国の有望選手らが好タイムを記録した。久しぶりの大会開催と選手の好成績は「中国スポーツ界の明るいニュース」としてメディアに大きく取り上げられた。しかし、その直後、北京国際マラソン大会が中止された。開催地が首都であると同時に、2022年に北京冬季五輪を控え、外国人選手を大量に受け入れ、感染リスクを高めることに強い警戒感があったとみられる。

 日本はじめ各国では、東京五輪が来年夏に1年遅れで開催できるかどうかに注目が集まっているが、実はその後の北京冬季五輪も開催まであと1年少しに迫っている。そんな中、国際スキー連盟(FIS)は今月4日、来年2月18~28日に河北省(Hebei)張家口市(Zhangjiakou)で開催予定だったフリースタイル、スノーボードの世界選手権を中止すると発表した。同じく中国で2~3月に予定していたジャンプ男女、ノルディック複合男子、距離男女、アルペン女子のワールドカップ(W杯)も中止になった。

 中国が2008年北京五輪を開催する際、事前に各会場を使ったテスト大会を行った。北京の五輪会場は新設が多く、会場の設備や運営方法に問題がないかチェックするテスト大会は必須だ。一連のテスト大会は「好運北京(北京で幸運を)」と統一の愛称をつけ、五輪本番に向けて国民の機運を盛り上げる効果もあった。

 北京冬季五輪のテスト大会も「相約北京(北京で会いましょう)」との愛称をつけ、今年から始める予定だったが、12月のフィギュアスケートグランプリファイナルに続き、年明けのテスト大会の中止も決まったのは、中国で選手団クラスター感染が起きれば、北京冬季五輪の開催にも影響を与えかねないとの当局の判断かもしれない。
世界各地でスポーツのイベントが開催されるなか、コロナ感染率の低い中国で一連のイベントが中止となったことに違和感を覚える人もいる。中国当局は北京五輪を確実に開催するため、より慎重な行動をとったともいえる。(c)東方新報/AFPBB News