【12月12日 東方新報】中国で2021年1月1日から新しい民法が施行される。夫婦が離婚する前に30日の「冷却期間」が導入されることとなり、その是非をめぐり、インターネットで話題を集めている。5月に中国人民代表大会(全人代=国会)で改正された「民法」の中の新規定では、離婚したい夫婦はまず、行政機関に離婚を申請しなければならない。30日以内なら一方の意思が変われば、申請を撤回できるという制度だ。

 中国メディアによれば、今回の民法を改正する前に広くから意見を集めており、約42万人から寄せられた100万以上の提案と意見を参考にしたという。

 中国では離婚率は近年、上昇している。政府の統計によると、人口1000人当たりの離婚件数は2019年で3.4に達し、1.7の日本の約2倍だ。2019年は結婚の届け出が約947万件だったのに対し、離婚は約415万件だった。今年になってから、コロナ禍で外出できなくなり、夫婦が家の中で一日中顔を突き合わせるためにささいな事でけんかし、離婚まで発展した「コロナ離婚」も急増している。

 冷却期間を導入したのは、夫婦双方に「頭を冷やす時間」を作ることによって、衝動的な離婚を避けることが狙いだ。専門家は「すでに破綻した夫婦関係であれば、冷却期間があっても離婚されるわけで、今回の法改正は、手続き期間を延ばしただけで、離婚のハードルを上げたわけではない」と説明した。

 中国の雑誌「財経」によれば、離婚に冷却期間が法律に導入されたのは初めてだが、以前から実施している自治体もあるという。例えば、武漢市(Wuhan)武昌区(Wuchang)政府は2010年ごろから、離婚のために訪れる夫婦に対し「プリンターが壊れた」を理由にすぐに書類を発行しない方法を導入した。9年間で約500組の夫婦がその後離婚を取りやめたという。

 しかし、離婚に冷却期間を導入したことに対し、インターネットには賛否両論が寄せられている。「結婚や離婚は当事者同士が話し合って決めることであり、国家権力が介入するべきではない」といった意見のほか、「離婚率が高いのは衝動的な結婚が増えたためで、結婚に「冷却期間」を置くべきだ」といった意見もあった。

 上海財経大学(Shanghai University of Finance and Economics)教授、民法の専門家の葉名怡(Ye Mingyi)氏によれば、今回の法律は協議離婚だけを対象にしている。離婚訴訟のケースは含まれていない。家庭内暴力の被害者などは裁判所に提訴し、離婚とともに経済上の賠償を求めるべきだ。そういったケースは「冷却期間」と関係ないという。(c)東方新報/AFPBB News