【12月8日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は7日、同国を3日間の日程で訪問中のエジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領と会談した。これに先立ちマクロン氏に対し、人権問題でシシ氏に強硬姿勢を示すべきとの声が上がっていたが、マクロン同氏はこれを「非生産的」だと退けた。

 両首脳の会談を前に、アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)などの国際人権団体は、フランスが「シシ大統領によるあらゆる反対勢力に対する残忍な抑圧を長い間容認してきた」と非難。人権のためマクロン大統領が立ち上がる時があるとすれば「今しかない」と訴えていた。

 しかしマクロン氏は、人権問題を無理に押し付けても「無益であり、テロとの戦いにおいて非生産的だ」と述べ、シシ氏に対する直接的な批判は差し控えた。

 フランスはエジプトを、テロとの戦いにおける主要同盟国、また戦艦や戦闘機の重要な売却先とみなしている。

 フランスでは、表現の自由を教える授業でイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せた教師が10月に殺害された事件後、マクロン大統領が風刺の自由を擁護したことから、イスラム世界では仏製品の不買運動や抗議運動が行われている。

 その中で訪仏したシシ氏をマクロン氏は「非常に大きなアラブ、イスラム国家の大統領」と呼び、謝意を表明。

「ただ自由を訴えた時に死刑やヘイトスピーチが生じることのない、文明的な場」を構築していくことで両国は一致していると、マクロン氏は述べた。(c)AFP