【12月7日 CNS】中国では今年に入り、20以上の省・大都市が自動車の購入促進政策を導入している。もともとは新型コロナウイルスの拡大で落ち込んだ消費のてこ入れを図る狙いだったが、最近は中国政府が内需拡大を強く奨励している流れを受け、「新エネルギー車(NEV)を買おう」「車を田舎へ」などのスローガンが多用されている。

 広州市(Guangzhou)は3月から、NEVを購入した個人消費者に1台あたり1万元(約16万円)の補助金を提供。「中国のシリコンバレー」と呼ばれる先端都市・深セン市(Shenzhen)はNEV1台購入につき2万元(約32万円)を補助している。新型コロナウイルスが最初に発生した湖北省(Hubei)は9月から、省内で製造、販売、登録された乗用車の購入者(企業を含む)に購入価格の3%を補助している。

 中国では都市部の渋滞を避けるため、車のナンバープレートの発行を制限する地域も多い。そんな中、北京市は8月、自動車を持っていない世帯でこれからNEVを購入する人向けに、ナンバープレートを2万枚追加発行した。海南省(Hainan)は11月、不動産を購入した人はナンバープレートの抽選に参加できるよう条件を緩和した。

 甘粛省(Gansu)では5500万元(約8億7000万円)の予算を投入し、新車購入への補助金支給のほかローン、保険のサポートなども行っている。遼寧省(Liaoning)、成都市(Chengdu)、寧波市(Ningbo)なども自動車購入奨励策を始めた。

 中国政府は最近、「新エネルギー車産業開発計画(2021〜2035)」を発表し、2025年までに国内のNEVの売上高を全体の約20%にする目標を示した。中国自動車製造業者協会によると、今年第1-3四半期のNEVの販売台数は73.4万台で、全体の4.3%にとどまる。逆の見方をすれば、まだまだ大きな「伸びしろ」を持っているといえる。

 中南財経政法大学デジタルエコノミー研究所の執行院長の盤和林(Pan Helin)教授は「NEVへの補助金は消費を刺激するだけでなく、自動車産業の技術革新につながる。そのためには政策の後押しと構造改革も必要となる」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News