【12月3日 東方新報】かつて田んぼや原野が広がるばかりだった地域が、30年の時を経て世界の最先端エリアに変貌した。中国政府は11月、上海市東部の行政区・浦東新区の開発30周年を盛大に祝した。8月に経済特区設立40年を迎えた広東省(Guangdong)深セン(Shenzhen)に続き、改革・開放政策で中国が「奇跡のような発展」を遂げた象徴としてアピール。長引く米中経済摩擦やコロナ禍の中でも中国経済が健在であることを国内外に示した。

 黄浦江の西側に位置する上海旧市街(浦西地区)が昔から人の往来が活発だったのに対し、黄浦江と長江河口部に挟まれた浦東地区は、田んぼや原野が広がる地帯だった。1990年に開発が決定され、1993年に浦東新区が設立すると、一気に時代の先頭を突っ走ることになる。全国初の金融貿易区となった浦東新区の陸家嘴金融街は、現代上海を象徴する地域となる。1995年に運用開始の東方明珠テレビ塔(高さ468メートル)を皮切りに、高層ビルが次々と建設され中国を代表する摩天楼が形成された。1999年には浦東国際空港が運用開始。2002年には世界初の商用リニアモーターカーが誕生した。

 陸家嘴金融街の東にある張江ハイテク産業開発区は、半導体、ソフトウエア、バイオ製薬産業が集中しており、新たに人工知能(AI)産業が台頭し始めている。2019年、浦東地区の域内総生産(GDP)は1兆2734億元(約20兆2243億円)に達し、30年前の211倍となった。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は11月12日、浦東新区開発30周年の祝賀行事で、「この30年間の浦東の目覚ましい成果は、中国の特色ある社会主義システムの利点を最も鮮明な形で証明している」とたたえた。浦東新区は30年間で1029.5億ドル(約10.7兆円)の外資を誘致し、170か国・地域の外資企業3.6万社を誘致し、世界500大企業のうち346社が投資プロジェクトを行っている。「ウインウイン」の姿勢が発展をもたらしたことを強調し、「アメリカ・ファースト」を掲げる米トランプ政権との違いを鮮明にした。

 習氏はまた、中国の新たな発展モデル「双循環」戦略と浦東地区の将来を結び付け、「国内大循環の中心地点となり、国際循環との戦略的にリンクする」と打ち上げた。米国で中国経済とのデカップリング(切り離し)の動きが根強く、新型コロナウイルスの拡大で国際貿易が影響を受ける中、中国政府は内需拡大を図る「国内大循環」を中心に、対外開放の「国際循環」も深めていく戦略を立てている。その双循環を結び付ける基点として浦東地区を位置付ける。中国の経済成長をけん引してきた若き経済エリアは働き盛りの「30歳」を迎え、新たな任務を担っていく。(c)東方新報/AFPBB News