■「圧力鍋」現象

 より世俗的なイスラエル社会から切り離されているハレーディーは、ユダヤ教の厳格な教義と社会的規則に従って生活している。女性は比較的若い年齢で結婚するまで、家族以外の男性から遠ざけられている。

 ハレーディーのほとんどの男性は終日、聖書を勉強する。女性はより広範な教育を受け、一般的に聖書の研究に専念し続ける夫よりも労働に従事する割合が高い。

 ヒレルのヤイル・ヘス(Yair Hess)代表によると、毎年約350人の若者から問い合わせがあり、その大半を19~25歳が占めていた。だが、コロナが流行している今年は問い合わせの数が2倍になったという。

 イェシバの閉鎖によって若いハレーディーは通常よりも多くの時間を家族と過ごすことになり、結果、爆発する「圧力鍋」現象が多くの家庭で起きているとヘス氏はAFPに説明した。

 イスラエル中部で中等神学校を運営するシモン・ビトン(Shimon Bitton)師(38)の見方も同じだ。

 ビトン師によると、神学校は「彼ら若者を保護する温室のようなものだった」。だが、コロナの流行で日常生活が一変し、一部の若者は困難な家計を助けるための職探しを余儀なくされている。「今まで知ることがなかった、けれど探りたいと思っていた世界に入ることになったのです」

 ヨアブさんは現在、運輸省で働きながら、数学と英語の授業を受けている。これらの科目は通常の教育制度とは異なるユダヤ教超正統派の学校では教えられていない。「何年も失いましたが、ようやく自分の人生を生きています」とヨアブさんは語った。(c)AFP/Michael Blum