【12月1日 AFP】世界の二大カカオ生産国ガーナとコートジボワールは、米チョコレート製造大手のハーシー・カンパニー(The Hershey Company)とマース(Mars)がココア生産農家への補償金の支払いを回避し、両社が実施していた持続可能プログラムを破棄したと非難している。

 世界のカカオ生産の3分の2を占めるガーナとコートジボワールは長年、価格設定をめぐりハーシーとマースと争ってきた。

 コートジボワールのコーヒー・カカオ協議会(CCC)とガーナのココボード(Cocobod)は11月30日、ハーシーとマースが農民の生計向上を目的とする「LID」と呼ばれる補償金を支払っていないと非難する共同書簡を公表した。

 LIDは、カカオ1トン当たり400ドル(約4万2000円)が市場価格に上乗せされる制度で、多くが貧困状態にあるココア生産農家を支援することが目的だ。

 CCCとココボードは、2社がLDIの支払いを行わなかったため、両社が関与している持続可能プログラムをすべて中止せざるをえなかったとしている。

 このプログラムはチョコレートが倫理的に生産されていることを証明するもので、生産過程で森林破壊を行わず、子どもを労働に従事させていないことが求められる。これにより企業はチョコレートを通常よりも高い価格で販売することができる。

 CCCとココボードは別の発表で、ハーシーとマースがLIDの支払いを避けるためココアバターの調達手段を変更したと非難している。

 ハーシーはAFPに対し、ガーナとコートジボワールが「誤解を招くような書簡を発表し、ココア生産農家に直接利益をもたらす重要なプログラムを台無しにする決定を下した」ことは遺憾だと述べた。

 一方、マースの北米子会社マース・リグレー(Mars Wrigley)は、LIDの支払いを逃れようとしたことはなく、LIDの取り組みを支援していると述べた。(c)AFP