【6月24日 AFP】スイス食品大手ネスレ(Nestle)は23日、チョコレート菓子「キットカット(Kit Kat)」の英市場向け製品のためのカカオ豆調達先について、英NPOフェアトレード基金(Fairtrade Foundation)との取引をやめ、環境保護団体「レインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance)」の認証を受けた生産者に切り替える方針を発表した。

 ネスレによると、この決定は英国およびアイルランドで販売されている「キットカット」の原材料であるガーナ産およびコートジボワール産カカオ豆に適用されるもので、今年10月から、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った製品の主要認証団体の一つ、レインフォレスト・アライアンスに調達先を切り替える。

 10年にわたってネスレと取引してきたフェアトレード基金は、世界の最貧困層の農民らの生命線を断ち切るに等しい決定だと不満を表明している。同基金では「フェアトレード・プレミアム(Fairtrade Premium)」と呼ばれるプレミアム料を生産コストに上乗せすることで、最貧困地域が「学校や診療所、食堂、女性支援プログラム」などに投資できる資金を捻出している。

 しかしネスレ側は、来期(2020~21年度)はこのフェアトレード・プレミアムを支払わないものの、「今期フェアトレードと取引したよりも多い額をカカオ豆のため費やす見込みだ」と述べている。

 同社によると、来期は生産国である両政府が決定したカカオ豆の最低価格方式に従い、1トン当たり400ドル(約4万2500円)を支払うのに加え、生産農家に直接届くレインフォレスト・アライアンスのプレミアム料金1トン当たり60ドル(約6400円)を支払うことになる。

 ネスレ側は今回の調達先の変更が一部の農家に影響を与えることを認めている。そのため農民とカカオ豆生産者を支援する取り組みにも投資するとしている。これには「不自由なく生活できる収入を得るための試験事業」の開発費100万ポンド(約1億3300万円)や地域製品開発のための50万ポンド(約6700万円)などが含まれているという。

 また、フェアトレード基金の認証農家がレインフォレスト・アライアンスの認証を希望する場合には、その認証費用を支払うとも述べている。(c)AFP