【12月2日 東方新報】今年1月に人口14億人を突破した中国は、携帯電話契約数は16億件を超えている。1人1台を超えるほど携帯が普及したため電話番号が不足する中、「番号の再利用トラブル」が起きている。

 今年9月に地方から北京の大学に進学した李さんは新しい電話番号で携帯電話を購入した。さっそく中国版LINE「微信(ウィーチャット、WeChat)」などのアプリに番号を入力して登録しようとすると、「すでに登録済みの番号です」と表示された。また、まったく見ず知らずの人たちから「久しぶり」と電話がかかってくるようになった。中には「あ、電話がつながった。貸した金を返してくれよ」という苦情の電話も。

「以前にこの電話番号を使った人がいるんだ」。そう気づいた李さんは電話をかけてくる人には事情を話し、アプリの登録は詳しい友人に頼んで何とか実現できたが、「なんでこんな苦労をしないといけないのか」と不満を打ち明ける。

 西安市(Xi’an)の郭さんも新しい電話番号を手に入れたとたん、「クリーニング店ですか」という電話が繰り返しかかってきた。携帯会社に「電話番号を変えてほしい」と伝えると、「違約金2万元(約32万円)が必要」と言われた。携帯電話を統括する工業情報化省に訴えても「自分で訴訟を起こすしかない」と言われ、途方に暮れている。

 中国の携帯は「13」「15」「18」で始まる11桁の番号が使われ、中国の大手携帯電話会社「中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)」「中国聯合通信(チャイナ・ユニコム、China Unicom)」「中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)」が分け合っている。中国メディアによると、電話番号は有限なため、前のユーザーが解約した後、携帯会社は半年後ぐらいに新しいユーザーに提供しているという。このため、金銭トラブル等を起こして携帯電話を解約したユーザーの番号を受け継いだ人は、そのトラブルを抱え込むことになってしまう。そんな悪質なユーザーでなくとも、例えば海外に転勤する人が電話番号を解約する際、知人に「もうこの電話番号は解約した」と連絡したり、自分が登録したアプリを1つ1つ解除したりするきちょうめんな人はそうはいないだろう。

 番号の「使い回し」をなくすためには電話番号を12桁にすればいいが、技術面やコスト面の問題がある。消費者問題に詳しい中国の弁護士は「携帯会社はユーザーのために、前ユーザーの登録情報の除去に協力すべきだ」と主張する。一方で携帯電話に詳しい専門家は「携帯会社でも、個別のユーザーがどんなアプリを利用していたか調べるのは技術的に不可能」と指摘しており、電話番号の再利用トラブルは今後も続きそうだ。(c)東方新報/AFPBB News