【11月29日 AFP】エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は28日夜、北部ティグレ(Tigray)州での軍事作戦が「完了した」とツイッター(Twitter)に書き込み、多数の人が犠牲となった3週間に及ぶ紛争での勝利を宣言した。連邦政府軍は州都メケレ(Mekele)を制圧したと発表した。

 昨年ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したアビー氏は今月4日、ティグレ州政府与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の幹部らに対し軍事作戦を開始するよう命令。TPLFは、2018年にアビー氏が政権を握るまでの約30年にわたりエチオピア政界を支配してきた。

 ティグレ州では以来、通信が遮断されており、激しい戦闘による被害の全容が把握できていない。同州ではこれまで、複数回にわたる空爆や、民間人数百人が殺害された事案が少なくとも1回起きている。

 同州西部の支配権を確保した上でTPLFに72時間の降伏期限を与えていたアビー氏は26日、人口50万人を抱える州都メケレにいるTPLF派部隊への「最終攻勢」を開始するよう命じた。

 大量殺人が起きる恐れがあると世界的に懸念が強まった中、メケレでは28日に激しい砲撃があったと報告された。

 政府は声明で、連邦政府軍が「空港や公共施設、地域管理事務所などの重要施設を制圧」したと明らかにしている。

 エチオピアのベルハヌ・ジュラ(Berhanu Jula)参謀長は28日夜、連邦政府軍が現在「隠れているTPLF政府幹部らを捜索している」と発表した。一方TPLFは、まだコメントを出していない。

 アビー氏が首相に就任して以降、TPLF幹部らは政府中枢から排除された上、汚職捜査の標的にされ、さまざまな国内問題の責任を押し付けられているとして不満を訴えてきた。

 アビー内閣が新型コロナウイルス流行を理由に8月に予定されていた総選挙を延期させると、両者の緊張は急激に高まった。ティグレ州はこの翌月、独自に選挙を実施し、アビー首相を正当性のない統治者だと批判していた。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET