【11月27日 AFP】サウジアラビア当局はこのほど、1年以上拘束されている女性活動家ルージャイ・ハスルール(Loujain al-Hathloul)氏(31)の裁判を刑事裁判所から反テロ裁判所へ移送した。ハスルール氏の家族が25日、明らかにした。同氏の保釈を求める海外からの圧力にもかかわらず、長期の実刑判決が言い渡される可能性が高まっている。

 ハスルール氏は女性の自動車運転解禁を求める活動をしていたが、2018年5月、他の女性活動家10人以上とともに逮捕された。長年禁止されていた女性の自動車運転が解禁されるわずか数週間前だった。

 姉妹のリナ(Lina Hathloul)さんによると、ハスルール氏はここ2週間にわたり拘置所内でハンガーストライキを行っていたため、首都リヤドの刑事裁判所に出廷した際、目に見えて「衰弱」し「震えを抑えられない」状態だったという。この裁判所では、2019年3月からハスルール氏らの裁判が非公開で行われていた。

 今回、裁判官が刑事裁判所はハスルール氏らの裁判権を有していないとの判断を下したため、反テロ法廷である特別刑事裁判所(SCC)への移送が決まったという。

 リナさんはツイッター(Twitter)で、「1年8か月もこの件を扱っていた刑事裁判所が、どうやったら今になって裁判権がないなんて気づくのか」と述べている。さらに、事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)の下での公正な裁判と司法権の独立とはこういうことだと批判した。

 SCCは、テロ関連の事件を扱う目的で2008年に設立されたが、反体制派政治家や人権活動家の裁判に一般的に使われている。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は今年、SCCがテロとの闘いという名目で、批判的な声を黙らせるために使われていると指摘している。

 ハスルール氏ら拘束中の活動家らは、国家の敵の支援や海外メディア・外交官、人権団体との接触といった不透明な罪に問われていると、人権団体らは述べている。(c)AFP/Anuj Chopra